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街の夜間照明が昆虫の冬眠を妨げていることを証明
NEWS RELEASE【No.7】
摂南大学(学長:荻田喜代一)理工学部生命科学科の向井歩助教、大阪市立大学大学院理学研究科の後藤慎介教授らの研究グループは、「夜間照明」が都市に生息する昆虫の冬眠を妨げていることを明らかにしました。
【本件のポイント】
● 都市環境に生息する昆虫は、都市の夜間照明の影響で冬眠が
妨害されていること
● 都市の温暖化(ヒートアイランド)の影響で冬眠に入る時期が
遅くなっていることを明らかに
本研究グループは、取り扱いが容易で、都市に生息し、明瞭な季節性を示すハエの一種を実験対象種として、都市環境下での冬眠開始時期や冬眠に入る個体の割合を調べました。この種は、多くの昆虫と同じように夜の長さ(暗い時間の長さ)が長くなることで秋の到来を知り、冬眠に入ります。そこで本研究グループは都市の夜の明るさに惑わされると、「冬眠に入る時期」を見誤るのではないかとの仮説を立てました。
実験の結果、0.1ルクス(月明り程度)あるいはそれよりも低い照度の夜間照明にさらされ続けると、冬眠が妨げられることが分かりました。更に、夜間照明の影響が大きい都市環境下では、本来冬眠に入る時期(10月~11月)になってもほとんどの個体が冬眠しないことが判明しました。また夜間照明が少ない都市環境下であれば冬眠に入ることはできるものの、冬眠開始時期は自然豊かな郊外よりも遅く、都市の温暖化(ヒートアイランド)にも影響を受けることが分かりました。
今後は、別の昆虫を対象種とする実験や、都市のさまざまな環境での実験、他の都市での実験を進め、私たちの文化的な生活環境が他の生物にどの程度影響を与えているのか、また変わりゆく環境に生物はどのようなプロセスで適応していくのかを明らかにします。
本研究の成果は、国際学術誌『Royal Society Open Science』7月14日にオンライン掲載されました。
URL: https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsos.210866
■内容に関するお問い合わせ先
摂南大学 理工学部生命科学科 助教 向井歩
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