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お知らせ

2018年に卒業した正見真梨さんは、日本の日本語教育事業を行う企業に就職し、そこからベトナムに派遣されて日本語学校を運営し、日本語教師として日本語の指導をしています。文化庁の調査によると、現在日本国内でのベトナム人の日本語学習者数は中国に次いで第2位です。最近ベトナムでは日本語教育が非常に盛んに行われるようになりました。
ベトナムで活躍する正見さんが現地の様子をレポートしてくれました。
(教授 門脇薫)
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 最近日本でコンビニや居酒屋で働く外国人の店員さんをよく見かけると思いますが、彼らの多くは、日本に留学し日本語を勉強しながらアルバイトをしている留学生です。皆さんの身の回りで外国人の存在が身近に感じることが多くなったと思います。現在日本に滞在する外国人の中で、留学以外に技能実習や特定技能制度を利用して日本で働いている人が増えました。しかし、このような外国人との共生社会をめざす日本において、非常に残念なことに時折ニュースで見るように外国人による犯罪が年々増えています。その原因の一つに、受け入れ側の日本が外国人に対して来日前の必要最低限の教育を怠っている点が挙げられます。この問題点を少しでも改善するために、私はベトナムのホーチミンに赴き、より良い日本語教育のために力を注いでいます。
 日本語教師として日本語を教える他に、学校運営のための幅広いマーケティングや、活発な広報活動も自分たちで行いました。具体的には、SNSを活用した広報戦略、地方営業、デザイン作成、大学での講演会、そして孤児院での奨学金説明会など、多岐にわたる仕事に携わりました。おそらく、皆さんがイメージする日本語教師像からは、大きくかけ離れている仕事ばかりだと思います。
 その中でも、特に孤児院訪問は自分の仕事の責任を強く感じた体験でした。私の勤める日本語学校では、お金がない学生でも日本留学にチャレンジし、夢とチャンスを掴めるような奨学金留学のシステムがあります。恵まれない子供たちに少しでもチャンスを掴んでほしいという思いで、私はある小さな孤児院を訪問し、奨学金留学の話をしました。初めて日本への奨学金留学の話を聞いた彼らは、目をキラキラと輝かせて、私の話を熱心に聞いていました。私が話し終わった後、会場は溢れんばかりの拍手喝采に包まれました。その瞬間、私はうれしい反面、強烈に責任というものを感じました。「これを単なる夢物語で終わらせてはいけない!」そう思ったのです。彼らのような人を全身全霊で支えるのが日本語教師の使命であると、仕事の責任の重さを実感しました。その後、嬉しいことに、ある一人の学生が、私たちの日本語学校に申し込みをしてくれました。望外の喜びです。それは、たった一人かもしれません。でも、そのたった一人の人生を大きく変えるきっかけを作ることができたのですから、私にとっては大きな大きな出来事でした。これは、現地に行かないと得られなかった貴重な経験でした。
 教壇に立って日本語を教えることだけが日本語教師の仕事ではありません。自分の知らない世界に飛び込み、自分の視野を大きく広げることができる仕事なのです。学生の皆さんが勉強している言語は、ただの言語学習にとどまらずこの先、国際共生社会に貢献するための極めて重要な鍵となります。その鍵があれば、未来の扉を開き、世界へ羽ばたくことができるはずです。学生の皆さん、日本を、世界を、一緒に変えましょう。

写真
1:出張先で横断したメコン川
2:大学生インターンと授業の相談
3:短期大学での留学説明会に浴衣で参加

(卒業生・インフィニットグロース勤務 正見真梨)

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