国際学部
第3回国際文化セミナーを開催しました。
摂南大学外国語学部は、2021年11月13日(土)に、第3回「国際文化セミナー」をオンライン開催いたしました。国際文化セミナーは、2022年4月から外国語学部から国際学部へと改組することに先駆け、研究・教育の成果を社会還元するために実施しております。
第3回のテーマは「トランスナショナルな世界をよみとく」で、次の2件の発表がありました。
発表1「ハプスブルク家の結婚政策―神聖ローマ皇帝カール5世と彼をめぐる女性親族たち―」加来奈奈(本学部准教授)
発表1は、結婚を通じて所領を広げていたハプスブルク家の女性たち、特にネーデルラント総督でもあったマルグリットに注目しました。スペインやフランス、イギリスなど当時のヨーロッパにおける主要な王家間の姻戚関係および政治的な対立・協力関係などを背景としながら彼女の人生を辿ることにより、目まぐるしく情勢が変わる16世紀ヨーロッパの政治動態の中で、戦時の平和交渉に女性親族たちとの越境的な繋がりが非常に重要な役割を果たしていたことを当時の書簡などの史資料に基づき、実証的に示しました。
発表2「K-pop、韓ドラの社会学—Convergence Cultureから考える韓国現代文化—」森 類臣(本学部特任准教授)
発表2は、世界的な広がりを見せているK-POP(韓国ポップカルチャー)に注目しました。多様な動画などを併用しながら、K-POPの登場から現在の新たな動態までを俯瞰し、著作権ではなく公演への動員やグッズ販売を主とする販売戦略、多様なメディア展開による広報戦略などのK-POPならではの特徴や、K-POPに対する強固なファンダム(fandom、熱心なファンたちによってつくられる場や世界観)の主体性と連帯意識を示すことにより、K-POPが越境的な文化を構築し、さらにはBTSとファンクラブ「ARMY」のようにK-POPの次の展開とも言い得るような新たな動態が生まれていることを示しました。
本セミナーは、時代や地域、対象が大きく異なる2件の発表により、人間の創造的な営みが各種の境界を超えて多元的に世界を変化させてきたことを示すセミナーとなりました。
第4回は「大学の学びにおけるフィールドワーク」をテーマとして、2022年2月19日(土)にオンラインにて開催予定です。後日改めて本学ウェブサイトなどの媒体でも告知いたします。ぜひご参加ください。
申込フォーム:https://forms.office.com/r/uXm8KvY5fk
(金子正徳・特任准教授)
写真1:加来奈奈准教授 「ハプスブルク家の結婚政策」
写真2:森類臣特任准教授「K-pop、韓ドラの社会学」