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3人の建築家が新しい保健所建築を発表 3人の建築家が新しい保健所建築を発表

作品に対してコメントする建築家の光嶋氏 作品に対してコメントする建築家の光嶋氏

全員で保健所建築のあり方を討論 全員で保健所建築のあり方を討論

 建築学科の小林健治准教授、池内淳子教授、木多彩子教授は11月14日、グランフロント大阪で新しい保健所建築の発表会を開催しました。

 昨今、新型コロナウイルス感染症により改めて注目を浴びた保健所。地域の公衆衛生の拠点として大きな役割を担う重要な機関です。しかし、保健所の建築は災害時や感染時といった有事を想定した建築になっておらず、有事のたびに全国から集まる支援者の活動スペースがない、耐震等級が一般建物と同等レベル、災害時には機能破綻が起きることなどが課題になります。また、平常時においても保健所を利用する難病や障害を抱える方への配慮が不足しています。

 小林准教授、池内教授、木多教授は、2020年から取り組んでいる保健所をテーマにした研究の一環として本発表会を実施。「ゼンカイハウス」で知られる宮本佳明氏、ジオ‐グラフィック・デザイン・ラボ代表の前田茂樹氏、本学の非常勤講師も務める堀賢太氏らの建築家3人が、それぞれ「新しい保健所」についてプレゼンテーションを行い、コメンテーターとして参加した建築家の遠藤剛生氏と光嶋裕介氏、更に浜松医科大の尾島俊之教授、大阪府健康医療部保健医療室の宮園将哉氏が、建築物の観点と医療・公衆衛生の観点から各発表にコメントしました。

 宮本氏は、公共建築には珍しいダイナミックな屋根を配置し、可動間仕切りで緊急時に大空間を確保できる建築を発表。前田氏は、保健所を「カレッジ」に見立て住民参加型の保健所利用を発表。堀氏は「余白とハコ」をテーマに、平常時にもスペースに余白を持たせることで災害時の転用ができる設計を発表しました。コメンテーターからは、さまざまな災害一つ一つに対応しうる建築物の検討や、保健所だけでなく近隣の小中学校などの建築物も包括した災害対策モデルの必要性などの意見がありました。

 その後、全員で行った意見交換では、「コロナを機に保健所建築が見直される可能性もあるなかで、今回の意見は非常に参考になる」「オフィスワーカーとして毎日出勤したくなる場所であってほしい」とのコメントがありました。

 小林准教授は、「建築家の方々から新しい保健所建築を考える上で多くのアイデアや必要な機能、ディスカッションの中では実現性を高めるための提案など、日常と災害時をシームレスにつなぐ公共建築のあり方について重要な意見を頂きました。その一つ一つを丁寧に議論し、意見を展開していき、新しい保健所の実現にたどり着けるよう研究を続けていきます」と意気込みました。

 当日の様子はダイジェストとしてまとめ、2月頃にYouTubeで配信予定です。

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