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多文化共生の先駆け:コリアンタウンの成り立ちと挑戦を学ぶ-住環境デザイン学科「サスティナブルデザイン演習」
1600年の歴史がある御幸森天神宮境内の歌碑の前で、百済の渡来人である王仁(わに)博士が仁徳天皇の即位を祝い詠んだと話す宋氏
住環境デザイン学科では今年度から3年生の選択必修科目として新たに「サスティナブルデザイン演習」を実施しています。
本授業では、持続可能な環境や社会・住空間、共生文化を実現するためのデザイン手法を身につけるべく、課題などを調査・分析・明確化し、具現化のためのデザイン提案をします。その中で「KJ法」「地球共生デザイン手法」「アンケート分析」「GIS分析」などの手法も修得します。これまで同演習では、サスティナブルな「キャンパスづくり」や「先住民・少数民族との共生デザイン」などのテーマに取り組んできました。
6月8日は、「多文化共生」をテーマに、さまざまな文化のバックグラウンドを理解し、デザインに反映しようと、5人に1人が外国籍住民である国際色豊かな生野区のコリアンタウンでフィールドワークを実施。生野区の外国籍の子供達の学習サポートや子ども食堂などに携わるNPO法人クロスベイス代表理事の宋悟氏が、実際に学生達と現地を歩きながら、コリアンタウンで暮らす新旧在日コリアンの歴史や街の成り立ちについて説明しました。
コリアンタウンは、今でこそ韓国料理店など約150店舗が軒を連ねる韓国文化色の強い商店街ですが、以前は日本の店舗も並ぶ商店街でした。第二次世界大戦後の朝鮮市場、1980年代のコリアタウン構想を経て今の街並みになりました。また、中国やベトナム、フィリピン、タイ、スリランカなど、さまざまな国にルーツを持つ人々が暮らしており、国内有数のグローバルタウンとなっています。ただその3人に1人の子どもたちが貧困に悩み就学支援を受けるなど課題も多くあります。
宋氏は、自身が苦労した経験を踏まえ、御幸森小学校跡地を「いくのコーライブズパーク」に再開発する事業に力を入れている事に触れ、「国籍や民族などの違いに関わらず誰もが共生できる街づくりのロールモデルにしたい」と多文化共生にかける想いを力強く語りました。
学生らは今後このフィールドワークを踏まえてさまざまな阻害要因を洗い出し、その改善または解決促進に向けたサスティナブルデザインの提案を行います。モノとコト(有形と無形)の両面から具現化するため、学修した手法を駆使して、問題解決に最も効果的なデザインプロジェクトを発表します。