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ミヒャエル・ライテラー(Michael Reiterer)教授 ミヒャエル・ライテラー(Michael Reiterer)教授

講演の様子 講演の様子

満席となった会場 満席となった会場

 2020 年 4 月に摂南大学経済学部は開設 10 周年を迎えました。 コロナ禍で2年遅れとなりましたが、7月13日、開設12 周年記念として、ブリュッセル・スクール・オブ・ガバナンスのミヒャエル・ライテラー(Michael Reiterer)特別栄誉教授をお招きし、「ウクライナ戦争の EU と日本への影響(Implications of the War in Ukraine for EU and Japan)」と題する講演会を開催しました。講演会は、田中鉄二准教授の司会のもと、最初に柳川隆経済学部長から趣旨説明と挨拶がなされ、ライテラー教授の講演、質疑応答が行われました。荻田喜代一学長ほか多くの大学関係者と学生が集い、予想を超える300人近い出席者で大教室の会場が満席となり、熱気あふれる講演会となりました。

 ライテラー教授は、オーストリアのインスブルック大学、アメリカのジョンズホプキンス大学などで安全保障論、国際関係論を学び、オーストリア外務省・EUなどで国際交渉を担当、その後、駐日EU公使、駐スイスEU大使、駐韓国EU大使などを経て、現在はブリュッセル・スクール・オブ・ガパナンス特別栄誉教授、インスブルック大学客員教授(国際関係論)などの要職に就かれています。なお、2005年、同教授はインスブルック大学兼任教授に任じられましたが、これは日本でいえば博士号を取得したことに相当します。

 同教授は、2度にわたる大戦を経験した欧州において、悲惨な戦争を避けるために石炭と鉄鋼を国際管理するため欧州石炭共同体が創設されたこと、また、その理念を受け継いで、現在のEUが存在することを説明されました。次に日本とEUの関係に触れられ、民主主義・法の支配・人権尊重など共通の価値観を有するという観点から、自由貿易協定など経済面のみならず、最近では政治・外交分野をもカバーする「戦略的パートナーシップ協定」を締結するなど、経済と政治が不可分となる中で、双方の緊密化が一層進展しつつある点について紹介されました。

 こうした環境下、ロシア軍がウクライナに侵攻したのですが、これに対して、日本はウクライナ難民の受け入れ、ウクライナに対する2億ドルの援助を決定、EUに対して少なくとも21万トンの天然ガスの供与を決めるなど、迅速な対応を行っており、EUとしても大いに感謝していることが紹介されました。

 さらに日本は、ロシアの関係者に対するビザ発給停止、ロシアの3金融機関が日本国内に有する資産の凍結、国際的な合意に基づく規制リスト品目や半導体などのロシア向け輸出に関する制裁を行うなど、制裁措置を米・EUと協調して実施しており、これらの点についてもEUは大いに感謝していることについて言及されました。因みに、本年6月にブリュッセルで開催されたG7サミットに出席した岸田首相は、続いてマドリッドで開催されたNATO首脳会議にも出席され、ロシアに対する措置について主要先進国と合意されています。

 最後にEUと日本は、今回のウクライナ侵攻に対して、国際社会とともにその影響がより緩やかなものとなるよう、共に歩んでいきたい旨の表明がありました。こうした内容の講演に対して学生からは次々に質問が寄せられ、ライテラー教授は一つ一つ丁寧に答えられていました。学生からは、「もっと色々な話を聞きたかった」などの感想が寄せられていました。学長からもアカデミックな雰囲気でよかったとの感想をいただきました。

 なお、講演に先立ち、同教授は荻田学長を表敬訪問され、学長からは、ライテラー教授の母校であるインスブルック大学を訪問した時の印象などの話があり、和気藹々のうちに表敬訪問は終了しました。

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