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バイオ燃料急増が食料安保に悪影響 トウモロコシ価格の変動 経済学部・郭教授らが米国のデータ解析
NEWS RELEASE【No.12】
摂南大学(学長:荻田喜代一)経済学部経済学科郭進教授と田中鉄二准教授の共著論文が、
このほどエネルギー経済学分野のトップジャーナルである『Energy Economics』
(URL:https://doi.org/10.1016/j.eneco.2022.106142)に掲載されました。
米国におけるバイオエタノール、トウモロコシの卸売価格と生産者価格が緊密な関係を持っていることを明らかにしました。
【本件のポイント】
● 近年のバイオ燃料生産急増のエネルギーと食料安全保障への影響について実証的に
アプローチ。経済データを周期と時間で同時に解析できるウェーブレット解析という
手法を用いた
● バイオエタノールの価格変動はトウモロコシの価格変動を引き起こすことが判明
● 米国のバイオ燃料政策が、資源配分の効率と食料安保に悪影響を与える可能性示す
近年、バイオ燃料生産が急増しています。本研究は、このことがエネルギーと食料安全保障へどう影響するのかについて実証的にアプローチしたものです。投機などの金融取引の影響を受けやすい先物価格ではなく、より実態経済に近い結果が得られるように燃料と食料の卸売価格と生産者価格を使用し、他の商品市場から受けるノイズを除去できるパーシャル・ウェーブレット(Partial wavelet)解析という手法を用いました。このようなモデルでエネルギー価格と食料価格の関係を適切に分析している研究はこれまではありませんでした。
分析の結果、1カ月から4カ月程度の短い周期でバイオエタノールとトウモロコシの価格には強い相関関係があることが判明。特に、バイオエタノールの価格変動はトウモロコシの価格変動を引き起こすケースが多くみられました。例えば、リーマンショック後の2009年から2012年の間、バイオエタノール価格の1%の上昇は、トウモロコシ価格を0.6%~1%押し上げたことが分かりました。
この論文は、米国のバイオ燃料政策が自国のエネルギー自給率を高める一方、資源配分の効率と食料安全保障に悪影響を与える可能性があることも示したものです。
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摂南大学 経済学部経済学科 教授 郭進
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