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超伝導になる電子のカタチが見えた! 量子ビームで描く次世代材料の設計図
NEWS RELEASE【No.20】
【お読みいただく前に】
電気抵抗がゼロになる超伝導体は、電力の損失を減らしエネルギー問題を解決する材料や量子コンピュータ実現に必要な材料としてなど高い注目を集め、研究が進んでいます。実用化に向けては超伝導になる電子の空間分布の解明が重要です。ところが、超伝導になるとともに電子の“みかけ”の質量が重くなる特殊な超伝導体である希土類Ce化合物超伝導体※1においては、電子の空間分布の直接観測は、これまで極めて困難であることが知られていました。
【研究成果のポイント】
◆従来測定困難だった希土類Ce化合物超伝導体の電子軌道を量子ビームにより可視化
◆電子軌道の対称性が超伝導を生み出す可能性を実験的に検証
◆超伝導材料研究への応用に期待
◆概要
大阪大学大学院基礎工学研究科 藤原秀紀助教、中谷泰博さん(当時大学院生)、関山明教授の研究グループは、日本原子力研究開発機構 斎藤祐児 研究主幹、静岡大学 海老原孝雄教授、立命館大学 今田真 教授、甲南大学 山﨑篤志教授、摂南大学 東谷篤志准教授、広島大学 田中新准教授、および理化学研究所 玉作賢治チームリーダーなどとの大型放射光施設SPring-8※2のBL19LXU, BL23SU, BL27SUにおける共同研究により、希土類Ce化合物CeNi2Ge2の超伝導状態を形成する“電子のカタチ”ともいえる、実空間における電荷分布を、高輝度放射光により直接捉えることに世界で初めて成功しました。
今回、藤原助教らの研究グループは、高輝度放射光による硬X線光電子分光※3、X線吸収分光※4の直線偏光依存性※5を測定することにより、超伝導状態の主役であるCeNi2Ge2のCe 4f電子の電荷分布の方向依存性を精密に決定することに成功しました。この手法を用いることで超伝導体の系統的な材料探索に道が開かれ、Society 5.0の実現に向けた次世代材料研究の加速が大いに期待できます。
本研究成果は、アメリカ物理学会の「Physical Review B」誌のEditors’ suggestionに選定され、10月13日(金)23時(日本時間)に公開されました。
●本件(研究内容)に関する問い合わせ先
大阪大学 大学院基礎工学研究科 助教 藤原秀紀(ふじわらひでのり)
TEL:06-6850-6422 FAX: 06-6850-6421
E-mail: fujiwara@mp.es.osaka-u.ac.jp
●発表機関連絡先
大阪大学基礎工学研究科 庶務係
TEL:06-6850-6131
E-mail: ki-syomu@office.osaka-u.ac.jp
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 広報部 報道課長 佐藤章生
TEL:029-282-0749
E-mail: sato.akio@jaea.go.jp
国立研究開発法人理化学研究所 広報室 報道担当
TEL:050-3495-0247
E-mail: ex-press@ml.riken.jp
静岡大学 広報・基金課
TEL:054-238-5179
E-mail: koho_all@adb.shizuoka.ac.jp
立命館大学 広報課
TEL:075-813-8300
E-mail: r-koho@st.ritsumei.ac.jp
甲南大学 学校法人甲南学園 広報部
TEL:078-435-2314
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摂南大学 学校法人常翔学園 広報室(担当:石村、上田)
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広島大学 広報室
TEL:082-424-3749
E-mail: koho@office.hiroshima-u.ac.jp