薬学部
【薬学部/吉田侑矢講師】長期海外出張報告
【薬学部/吉田侑矢講師】長期海外出張報告:米国Mayo Clinic
紀太博仁先生のラボでの研究生活を振り返って
Mayo Clinicは、米国ミネソタ州ロチェスターに本部、フロリダ州ジャクソンビルおよびアリゾナ州フェニックス/スコッツデールに支部がある医療研究機関です。全米の最も優れた病院として常に評価されており、世界中からその治療を求めてたくさんの患者さんが来られます。そのMayo Clinic ArizonaのCollaborative Research Buildingにある紀太博仁先生のラボ (Division of Allergy, Asthma and Clinical Immunology, and Department of Medicine) に2022年9月初旬から約1年間Visiting Research Fellowとして長期海外出張 (留学) する機会をいただきました。
紀太先生のラボは、国籍豊か (米国、中国、ネパール、台湾、日本 (留学当時)) なメンバー (テクニシャン、フェロー、大学院生など) で構成されており、アレルギー疾患一般の症状の根底にあるメカニズムの解明、それを予防、治療に繋げることを目的とした幅広いプロジェクトを遂行されています。その中で私はピーナッツアレルギーに関する研究活動に従事しました。米国のピーナッツアレルギー患者は多く、その予防、治療に関する医療ニーズは極めて高いです。また、これまで主に自己免疫疾患に関する研究を主に行なってきた私にとって、アレルギー分野の研究を本格的に行うことは新鮮かつ刺激的でした。週に1回ある紀太先生とのone on oneミーティングは、特に貴重な時間でした。研究結果の正確な解釈、次に実施すべき研究計画などに関するディスカッションからは学ばせていただくことばかりで、それを踏まえて自信を持って着実に研究を遂行することができました。また、アレルギー研究のプロフェッショナルが集まって行われるミーティングも週1回ありました。各研究者には15分間、45分間のプレゼンテーションの機会が、それぞれ月に1回、半年に1回の頻度で回ってきます。毎回、自身のターンの際は緊張しましたが、多角的かつ建設的なコメントを受け、モチベーションがより高まる要因の一つになっていました。そのミーティングには臨床のエフォートが高い研究者も参加されており、基礎、臨床両面の最新、最先端の知見を学ぶ良い機会でもありました。1年間と短い期間ではありましたが、ラボメンバーのサポートもあり一定の成果を得ることができ、大変充実した研究生活を送らせていただけました。Mayo Clinicは、世界的に権威ある研究者が多く在籍しているかつ様々なセミナーも頻繁に開催されており、いくらでも勉強できるとても魅力的な研究環境でした。
アリゾナ州スコッツデールでの生活を振り返って
スコッツデールは、州都であるフェニックスに隣接し、年間を通じて温暖かつ夏は非常に暑い地域で、日本に比べると湿度は低く、カラッとした砂漠気候でした。砂漠の象徴とも言えるサボテンが至る所にあり、眺めるたびに癒しのひと時を与えてくれました。
本留学では、研究時間がしっかりと確保できただけでなく、家族と過ごす時間も非常に増えました。週末には、国立公園 (Grand Canyon National Park、Saguaro National Parkなど)、Sedona、近隣にたくさんあるTrailを訪れました。野生のハチドリ、ロードランナー、コヨーテなど普段の日本での生活で遭遇することができない動物にも出会え、自然の魅力を堪能し、楽しく過ごすことができました。共に渡米した子供は、現地のkindergarten、elementary schoolに通い、1年間頑張りました。アメリカの学校と日本の学校には、学期の始まり、登校方法、休みの時期などの違いはもちろん、先生の学生への接し方、評価方法などの違いも感じられ、貴重な経験となりました。公園や遊べる施設の規模はとても広大で、子供がのびのび育つ環境が整っているように思いました。現地で実際に生活することで、米国独自の祝祭日である感謝祭、独立記念日などの雰囲気も肌で感じることができました。また、多国籍の方と接する機会も非常に多く、米国だけでなく他国の文化を知ることもできました。
これらのことは、日本の良いところ、改良が望まれるところを客観的に考えることができるきっかけにもなりました。一言で言い表すことが難しいですが、本留学を通じて様々なことに対する価値観がこれまでとは良い意味で大きく変化したように思います。
最後になりましたが、このような機会を与えてくださり、かつ支えて頂きました皆様に感謝申し上げます。また、現地で丁寧にご指導頂きました紀太先生はじめ研究活動、生活両面でサポートいただきました皆様に深く御礼申し上げます。本経験を少しでも今後の教育、研究活動などを通じて還元できるよう努力していきたいと思います。