経済学部
【経済学部】特別講演会「欧州議会がやってくる!!」が開催されました
EUの議会である欧州議会(European Parliament)は、同議会議員・元議員を世界各地の大学に派遣し、EUの政策を説明する『欧州議会が大学にやってくる(European Parliament to Campus)』というプログラムを実施しています。このプログラムにより、12月11日(月)、経済学部の「サービス産業論」及び「地域統合論」の授業において、ハンガリー出身の同議会元議員であるエディット・ヘルツォーク(Edit Herczog)氏にオンラインで講演していただきました。テーマは、「EUにおける最適エネルギー・ミックス」です。同氏は、2004年~2014年の間、欧州議会議員として、また現在もEUの一機関である「EUエネルギー規制機関間協力庁(European Union Agency for the Cooperation of Energy Regulators, ACER)の運営委員会副議長として、EUのエネルギー戦略立案に多大な貢献をされています。
冒頭、まず柳川隆経済学部長による「政治家が他国の学生に対して政策内容を説明するという機会は余りないので、ぜひじっくりと聞いてもらいたい」という趣旨の挨拶から始まりました。ヘルツォーク氏は、まず自らが副議長を務めておられるACERの機能について説明されました。その後、同氏が強調されたのは、EUと日本は共にエネルギー消費の増大及びCO2排出量の削減という両立困難な課題に直面していること、また、こうした課題の解決について世界に対して責任を負っていることです。続いて、次のような説明がありました。EUは、このような課題に対して、電力市場及びガス市場の連系を強化し、EU諸国が互いに融通することなどで対応しようとしてきた。一方、ロシアからの天然ガス輸入量は、今回の危機発生以前と比較して40%も減少したのであるが、世界市場からの調達、ガス市場の統合によってショックを緩和することができている。今後、日本など同様の課題に直面する国々の間で協力を進めること、天然ガス及び再生エネルギーの安定供給を実現すること、エネルギー分野への投資を促進することなどを通じて、環境政策とエネルギー政策の調整を進めることが必要である。同氏は、こうした論点について詳細なデータを示しながら説明されました。
講演に対し、学生からは、エネルギー政策を諸国間で協力するにあたって、課題に関する妥協と選択のいずれを重視するのかという質問があり、同氏はEUにおける意思決定における妥協の重要性を説明されました。終了後、学生からは「説明が非常に明快であり分かりやすかった」といった感想が寄せられました。大変示唆に富むオンライン講義であり、130人近い学生は緊迫するエネルギー情勢の重要性について大いに刺激された特別講演となりました。