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シンポジウムの様子 シンポジウムの様子

 2024年3月6日(水)、拓殖大学文京キャンパスにおいて第48回政治哲学研究大会が行われ、『政治思想と啓蒙』書評会と称するシンポジウムにおいて和田泰一准教授が報告しました。今回のシンポジウムは、2023年3月に出版された和田泰一・高山裕二編『政治思想と啓蒙』(ナカニシヤ出版)の内容について深く議論するものです。

 啓蒙とは、主に18世紀に展開された、理性の光によって闇を照らすことによって人々を迷信や誤謬から救い出し、自然と社会の諸現象を解明しようとする知的運動を指しています。しかしITやグローバリゼーションが発達した現代では、ポピュリズムや陰謀論、人種差別的・反知性主義的な発言など、反啓蒙的な現象が数多く見出されています。エコーチェンバー現象、フェイク・ニュース、公正な選挙を否定する動向なども、それらの例であると言えます。『政治思想と啓蒙』は、紀元前から21世紀までの啓蒙の複雑で両義的な特徴を洗い出し、その内容と現代的意義をあらためて問いなおす著作となっていました。

 今回のシンポジウムでは、司会に金田耕一教授(日本大学)、コメンテーターに佐藤正志名誉教授(早稲田大学)、佐藤一進准教授(神戸学院大学)を迎え、『政治思想と啓蒙』の執筆者である隠岐理貴講師(名古屋外国語大学)、上田悠久講師(茨城大学)、和田泰一(摂南大学)が報告しました。本学の和田泰一准教授は「啓蒙の主体と自由のアンチノミー―アドルノのカント批判」というテーマで報告し、アドルノの『啓蒙の弁証法』におけるカント解釈に基づいて、カントの啓蒙の主体の道徳的意味をより深い視点から主張しました。フーコー、ホッブズ、カントらの啓蒙をめぐって多様で活発な議論が交わされ、盛会のうちにシンポジウムと研究大会は終わりました。

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