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お知らせ

ラオス人民民主共和国(以下、「ラオス」)は、1986年以降市場経済化を進めており、様々な法律が外国機関の支援により成立しました。それらの内容をもととしてラオス民法典草案が作成され、2018年12月6日に議会において承認され、2020年5月27日より施行されています。
 この民法典草案の作成には、日本の国際協力機構(JICA)および法務省法務総合研究所国際協力部(ICD)が協力をし、本学の大川謙蔵准教授も2014年より起草作業に参加をし、その内容についてラオス現地セミナーおよび本邦研修において議論をしてきました。

 現在は、JICAプロジェクトとして「法の支配発展促進プロジェクト」が実施されています。そこでは3つの異なるテーマに関するグループがラオス側で設置されています。今回はそのうちの一つである、事実認定と法令の解釈適用を適切に行う能力を身に付けた法律実務家の育成に関するグループ(民法典ワーキンググループ)の研修が開催されました。今回は、第2回ラオス本邦研修(民法典)として、25年3月3日から3月13日にかけてJICA東京において実施され、ラオスから裁判官、検察官、司法省職員、国立大学教員および弁護士の計21名が来日しました。日本側からは、志賀剛一弁護士(志賀・飯田法律事務所、元司法試験考査委員(民法))、松尾弘教授(慶応義塾大学法務研究科)、大川謙蔵准教授が参加をしました。

 このグループでは、基本法令の理解を促進する論点集の作成、判決書集、意見書サンプル集の作成といった活動が行われており、中核人材の育成が主たる内容とされています。24年秋から、論点集を作成するために、民法上の論点を含む複数の事例を日本側で作成し、当該事例に基づく論点集執筆作業を開始しています。
今回は、以下のテーマを中心とした議論が実施され、これらの論点に対する対応をラオス側で事前に作成してきてもらい、日本においてその内容や記載方法などを議論しました。
①売買契約、代理、詐欺(松尾弘教授、大川謙蔵准教授)
②売買契約、錯誤(大川謙蔵准教授、松尾弘教授)
③賃貸借契約、危険負担、債務不履行解除(志賀剛一弁護士、松尾弘教授)

 議論を通じて、ラオスに新しく導入された概念への対応、存在しない概念の理解、実務と理論との乖離の調整などの今後の具体的な課題が多く見え、日ラ双方にとっても有意義な研修となりました。

JICA東京における研修

講義の状況

講義の様子

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