理工学部
【理工学部 都市環境工学科】3年次生向けの講演会および見学会を実施しました
9月18日(木)に、3年次生科目「都市環境ゼミナール」の講義の一環として、講演会および見学会を実施しました。午前開催の講演会では、大阪府都市整備部にインフラ構造物の維持管理についてご講演いただきました。午後開催の見学会はグループに分かれて実施し、NEXCO総研(高速道路総合技術研究所)緑化技術センターの見学、国際航業関西事業所の見学、渚水みらいセンターの見学、国道176号名塩道路現場の見学、新名神高速道路枚方工事の見学に学生が参加しました。
講演会および見学会を通じて都市環境工学の基礎を学び、今後の進路を考える学生にとって貴重な経験になったのではないかと思われます。講演会および見学会の企画・運営にご協力いただきました皆様に、厚く御礼申し上げます。
以下、講演会および各見学先での様子等を紹介いたします。
講演会
午前に開催した講演会では、大阪府都市整備部の皆さまにお越しいただき、インフラ構造物の維持管理についてご講演いただきました。八潮市道路陥没事故といった新しい話題にも触れつつ、維持管理にあたっての産・官・学連携の取り組みや、行政の多岐に渡る維持管理業務について、分かりやすく説明してもらいました。また講演の途中では、「少子化の中での人材確保、業務効率化・省力化」のテーマでグループワークを実施し、学生が意見を発表しました。今回の講演やグループワークでの議論を通じて、学生は維持管理の大切さと難しさを学ぶことができました。

NEXCO総研緑化技術センター 見学
NEXCO総研緑化技術センターは、日本道路公団の創立直後の1958年に名神高速道路試験所石部分室として開設されました。名神高速道路建設に伴い、中央分離帯の植栽、高速道路線形の視線誘導、運転者へのアメニティの提供などに高品質で均一な植栽が必要とされたからです。施設の建設には試験施工を兼ねて日本で最初のブルドーザーによる土工事が行われるなど、植栽場(当時の呼称)は高速道路の建設に大いに期待されてきました。
現在、緑化技術センターでは、道路事業の支援のための研究開発、緑化資材の生産、NEXCO内外での技術支援が行われています。最近では生物多様性に配慮した地域独特の遺伝子情報を有する苗木の生産、道路建設予定地の貴重植物の一時的な保護・育成・繁殖を行い、道路工事完了後に元の生育地に移植するなどの貴重種保全を行っています。また、動物の道路への飛び出しを防ぐための調査研究も行われています。
前半の業務説明では、学生から業務の楽しみやかなり細部に関する質問が多く、学生の環境に対する取り組みへの関心を知ることができました。場内見学では、苗木生産ハウスでは緑化センターで開発した地被ユニットの育成、草花生産ハウス、ビオトープモデルゾーン、屋外試験エリアでの鵜殿の葦の生育を見学しました。

国際航業関西事業所 見学
はじめに、事業統括本部西日本地理空間情報部地理空間グループ長にアテンドいただきながら、事業所内に陳列されている機材などの説明を受けるとともに、国際航業の歴史や事業内容の概要を紹介いただきました。その後は、事業部ごとの詳細を説明いただきました。見学会の終盤では、若手技術者の方々と座談会形式で具体的な事業内容について対話する機会をいただきました。
参加した学生からは、津波予測が興味深かった、3Dの仮想現実での災害シミュレーションに感心した、設計コンサルタントの事業内容を知ることができた貴重な機会だった、といった感想が寄せられました。


渚水みらいセンター 見学
はじめに、施設概要について資料を用いたご説明をいただき、その後、水処理施設や汚泥処理施設などの現場を見学しました。さらに、近隣住民に開放されている公園などの施設についても紹介していただきました。
参加した学生からは、
・水処理における微生物の重要性を改めて認識できた
・微生物の役割を念頭に置くことで、各施設の機能や配置の理解が深まった
・公園が併設されていることから、施設の公共性の高さを感じた
といった感想が寄せられました。


国道176号名塩道路 見学
見学会は、本学科の卒業生でもある国土交通省近畿地方整備局兵庫国道事務所長にご案内いただき、国道176号の複線化工事の見学を行いました。現場は岩山と武庫川に挟まれた狭隘区間で、施工が難しいことなどを国交省および施工業者の鴻池組から説明を受けました。学生たちは、初めて見る工事現場を前に、説明を熱心に聞いていました。



新名神高速道路枚方工事 見学
「新名神高速道路枚方工事」は、シールド工法で施工が進められている「枚方トンネル」の西側から地上に出て淀川を渡る高架橋に至る工事で、鹿島建設殿により施工されています。シールドマシンの回転立坑と換気所を構築するとともに、掘割構造の道路および橋梁の下部工を建設するもので、今年で施工開始から7年目、2027年度完成予定の比較的長期間の工事となっています。
はじめに、現場所長と説明用ロボットによる工事概要説明を受けた後、施工中の区間が一望できる桟橋上の小屋に向かいました。そこでは、手持ちのタブレットを通して写る目の前の施工場所に対し、AR技術で施工過程映像を重ねて投影できるようになっており、学生はその最新技術の活用に感嘆の声を上げていました。つぎに、シールド発進用の立坑に向かいました。そこには鉄骨の支保工が張り巡らされた深さ数十メートルの立坑があり、学生たちは地上から恐る恐る覗き込みつつ、その掘削の技術力に感心していました。最後に、施工中の橋梁上部工の上へ登り、施工の様子を見学しながら、道路の仕様や施工手順について説明をしてもらいました。
質疑応答では、参加学生全員が1回ずつ質問する機会をいただき、本現場の技術的な質問、ゼネコンに関する質問、就活に関する質問などが出ました。現場の皆さんから大変丁寧に一つ一つお答えいただきました。
なお、見学会の企画・運営には日本建設業連合会関西支部殿に大変お世話になりました。ここに記して感謝申し上げます。



