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お知らせ

10月29日(水)、本学寝屋川キャンパスにて「摂南大学開学50周年記念国際シンポジウム」を開催しました。海外協定校、自治体、企業、教育機関、本学学生など、多方面から多数の関係者にご参加いただきました。

 本シンポジウムは、開学50周年という大きな節目に、「アジアにおける持続可能な地域経済開発に向けて ― 農業・教育・地域社会の連携 ―」をテーマに掲げ、ベトナムおよび中国における先進的な取り組み事例を共有しながら、持続可能な地域発展モデル構築に向けた課題と展望について議論しました。

開会にあたり、久保康之学長は、持続可能な地域経済発展には、国・文化・分野を超えた協働が不可欠であると強調しました。また、本学が雲南農業大学やベトナム国家大学ホーチミン市校などとの協力を通じ、教育と地域経済を結ぶ新たな連携モデルの創出に取り組んでいることを紹介し、今後は「アジア文化・経済・社会研究所(仮称)」の設立を視野に、国際共同研究と教育の拠点形成を進めていく旨を述べました。

基調講演では、早稲田大学の北野尚宏教授が「アジアの地域経済開発と日本のODA」をテーマに登壇。日本のODAが、自国の経験を活かしながらアジア諸国の経済発展と人材育成を長期的に支援してきた点、さらに中国・ベトナムにおけるインフラ整備や制度構築支援が産業集積や国際競争力強化に寄与してきた点を指摘しました。今後は、SDGs/ポストSDGsやプラネタリーヘルスの視点を取り入れた地域開発モデルへの転換が重要になると提言しました。

事例紹介では、ベトナム国家大学ホーチミン市校人文社会科学大学のゴー・ティー・フオン・ラン総長が、農業・教育・地域社会を統合した「ハイテク農業観光モデル」を紹介。ベトナムでは「自然・経済・軍事」の3区分を活用した地域発展政策が展開されている一方、地域間格差、省庁間連携不足、財源不足などの課題があると述べ、持続的発展には経済・社会・環境・安全保障を統合した地域ガバナンスが求められると強調しました。

雲南農業大学の魏紅江副学長からは、ミニブタを活用した先端医療研究の取り組みが報告されました。深刻な臓器不足を背景に、遺伝子編集ミニブタを用いた移植研究が進展していること、雲南農業大学が多遺伝子改変ブタの作製・繁殖・安全管理において世界トップレベルの研究基盤を有し、中国国内で中核的役割を担っていることが紹介されました。今後の鍵として、①安全性の担保、②免疫拒絶反応の克服、③臨床応用に向けた倫理・規制整備の重要性が示されました。

続くパネルディスカッションでは、上記3名に加え、中国・保山ビートン・コーヒー株式会社の方明峰社長、本学薬学部の伊藤優准教授が登壇し、村瀬憲昭経済学部准教授をモデレーターに、「地域をつなぐ知と実践 -アジアの事例から私たちの未来を考える-」をテーマに活発な議論が行われました。登壇者からは学生に向け、「積極的に海外へ飛び出し、多様な文化や価値観に触れながら経験を積んでほしい。国際的視野は人生の財産となり、将来の可能性を大きく広げる」との熱いメッセージが送られました。

会場は終始、温かな雰囲気に包まれ、閉会挨拶では、西川眞由美グローバルセンター長が、今後も国際交流と地域連携の深化を図り、教育研究のさらなる発展につなげていく決意を述べました。

本シンポジウムを通じ、本学は国内外パートナーとの信頼関係を一層強化し、次の50年に向け、持続可能かつ発展的な国際協力体制を構築することの重要性を再確認しました。グローバルセンターでは今後も、産官学および海外協定校との連携を強化し、地域と世界を結ぶ教育・研究活動を推進してまいります。

早稲田大学北野教授による基調講演

パネルディスカッションの様子

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