国際学部
【国際学部】第11回国際文化セミナーを開催しました
国際学部は、2025年10月25日(土)に第11回国際文化セミナーを開催しました。今回は「日本文化・日本語:日本人の受信力」というテーマで、ジェフ・バーグランド先生(京都外国語大学 名誉教授/公益財団法人 京都日本語教育センター 京都日本学校校長)にご講演頂きました。本学部の学生や教職員に加えて学外から聴講に来られた方を含めて、約80名が参加して、先生のお話をお聞きしました。

バーグランド先生は、1969年に来日されたときの思い出からお話を始められました。ほとんど雨が降らない地域から来日して、梅雨のただ中の東京に降り立ったときのお話は、気候と人々の暮らしや言語生活とが密接につながっていることをあらためて想起させられました。梅雨の傘の話から、文化や習慣の違い、さらには言語の違いなど、ご自身の経験をもとにお話は続きます。
バーグランド先生は日本での経験をお話しになりましたが、それは、日本で暮らす私たちも経験しうることです。先生は、異文化を目の前にしたら、意識が働く「鏡現象」に言及しました。それは、鏡があると自分の顔を見ることが出来るように、異文化を見ることを通じて、自文化に対する感覚を研ぎ澄ませることを指します。他者と出会うときに、様々な形で違和感を覚えることがあるかもしれないものの、それは喜ぶべき違和感であるといいます。なぜなら、自分たちの認識を再確認する機会でもあるからです。バーグランド先生のご経験に基づく、これらのお話はとても説得的で、参加者の日常を見返す契機となったはずです。

さらに、バーグランド先生は、受信型と発信型というコミュニケーションにかかわる二つの類型に言及されました。日本のコミュニケーションは受信者に理解を委ねられる形でなされるといいます。何が相手を不愉快にさせているかを考えて行動することも多いという指摘は、私たちの日常を考えると理解が容易かもしれません。
ご講演の最後には、本学の学生に対して、学ぶ際に重要なこととして「帯」が大事だというメッセージをくださいました。帯(OBI)とは、observe(観察する)、 borrow(借りる)、 integrate(総合する)という三つの単語の頭文字に由来します。大学での学びは、新しいことを前にして、観察することから始めて、それを模倣しながら、自分のものとして統合するプロセスだという先生の指摘を、全ての参加者が、帯を締めるときのごとく背筋を伸ばして受け止めていたようです。

ご講演は普段の講義と同じ90分間でしたが、あっという間に時間が過ぎました。ユーモアを交えた先生のお話を、参加者がそれぞれの角度から受け止めて今後の学びに活かしていくはずです。バーグランド先生、どうもありがとうございました。
(国際学部 イベント委員会)


