国際学部
【国際学部】授業紹介No.4「地理学プロジェクト」
国際学部で2年次前期から3年次前期にかけて開講している、多彩な「プロジェクト科目」を紹介するシリーズ投稿です。
「プロジェクト科目」では講義と演習を組み合わせてインプットとアウトプットを繰り返し、学生主体で課題解決や目標達成のための計画を立案することで、課題解決力を身につけます。
今回取り上げるのは、大谷侑也先生が担当する「地理学プロジェクト」(2年次前期 文化構想領域)です。
授業概要(シラバスより一部引用):
このプロジェクトでは、PS4のシミュレーションソフトを使用して街、都市の発展と共に起こる様々な社会問題を学ぶ。最近では地理情報システム(GIS)や、国土交通省が開発した日本全国の都市3Dモデルである「PLATEAU」等を用いた地域の開発シミュレーションが行われており、それにより「街が発展するとどのような環境問題が起きるのか?」をあらかじめ推測し、実際の開発に役立てる取り組みがなされている。
プロジェクト内で使用するのは「Cities Skylines」という2015年にリリースされた街づくりシミュレーションソフトで、限られた財源の中で道路や水道・電気等のインフラを整え、住宅地や産業区域を発展させていく。人口が増えていくと渋滞や火事、犯罪の増加、ごみ処理問題等が発生し、住民幸福度が低下したり、病院をきちんと配置しないと病人が増え、人口と幸福度が減少したりする。また税金も調整でき、重税を課し歳入が増えればインフラを充実させられるが、あまりに課税をすると人口が減少する。このように実際の地域開発のなかで起こる種々の問題がゲーム内で再現される。
近年、SDGs(持続可能な開発目標)として17個の目標が掲げられており、本プロジェクト内のゴールはそれら17個の目標を「Cities Skylines」内で達成することである。ゲームを進めていくとさまざまな数値(水質汚染、住民幸福度、火災危険度、犯罪率等)がリアルタイムに変動する。それらゲーム内の各パラメータをSDGsの17の目標に当てはめ、目標を達成すべく街を発展・開発していく。
授業紹介:
このプロジェクト型授業のためPS4を十数台とソフト10個を導入しました。本当はひとり一台PS4を用意したかったのですが、今年の受講者数は54名のため全員分を購入すると研究室がゲーム屋さんのようになってしまうため、3人一組での作業となりました。このプロジェクトのゲーム内目標の達成難易度は高いです。そのため実際の授業ではうまく3人で役割分担を決めて進める班が見られます。ひとりがコントローラーでプレイをし、ひとりが分からない所をネットで調べ、ひとりが全体指示といった形です。
また、教員から特に指示をしたわけではないのですが、普段からゲームの操作に慣れている学生が他の班の学生にアドバイスや操作の手助けをしてあげたりする場面があり、和気あいあいとした授業となっています。受講中の学生からは「ゲームとSDGsを繋げられるとは思わなかった」、「実際の開発中の街を見に行きたくなった」、「卒業研究で実際の街をCities Skylineで再現し、開発を行うとどのような環境問題が起きるのかを調べたい」といった声が聞かれます。
街の開発や発展、そして併発する社会問題を学ぶにはさまざまな学習方法があると思いますが、今回のようなソフトを用いた授業は幼い頃からスマホやPCが身近にあった皆さんの世代にとって取り組みやすく、身に付きやすいものではないでしょうか。
(国際学部講師 大谷侑也)