本文へ移動

お知らせ

NEWS RELEASE【No.32】

 摂南大学(学長:久保康之)農学部応用生物科学科 動物機能科学研究室の井上亮教授は、Mizkan(代表取締役社長兼 CEO:吉永智征)と京都府立医科大学(学長:夜久均)と共同で臨床試験に取り組みました。健康な成人を対象とした研究により、食物繊維とくに発酵性食物繊維の含有を中心とする食品の摂取が腸内細菌叢や排便関連QOLに有益な変化をもたらし、更に睡眠や肌の状態と関連する可能性が見出されました。本研究成果は国際学術誌 Microorganisms に掲載されました(UMIN臨床試験登録番号:UMIN000054712)。

研究概要
 本研究は、食物繊維とくに発酵性食物繊維の含有を中心とする食品の摂取が健康な成人の腸内環境や排便関連  QOL(生活の質)に与える影響を検証するとともに、睡眠や皮膚状態など全身の健康指標との関連を探索的に評価することを目的としました。研究の結果、食物繊維の摂取は、一部の腸内細菌の割合を増やし、排便関連の生活の質を改善する傾向を示しました。更に、増加した有益菌の大腸内に占める割合(占有率)が睡眠や肌に関する スコアと相関することが確認され、腸・脳・皮膚のネットワークを介した広範な健康価値の可能性が示されました。 

研究背景
 食物繊維は古くから便通改善に有効とされてきましたが、近年は腸内細菌を介した全身への影響が注目されてい ます。特に食物繊維の中でも発酵性のある食物繊維は大腸で腸内細菌により分解され、短鎖脂肪酸(SCFA)などの代謝産物を産生することが知られています。これらは腸上皮細胞や免疫調整に寄与するほか、腸–脳軸や腸–皮膚軸を介して睡眠や肌状態にも影響を与える可能性が示唆されており食物繊維の健康への影響は近年ますます注目されています。しかし、健康な成人を対象に腸内細菌叢、排便関連QOL、そして睡眠・皮膚状態を同時に評価した臨床試験はこれまで限られていました。

論文情報
掲載誌:Microorganisms
論文タイトル:Effects of Dietary Fiber Supplementation on Gut Microbiota and Bowel Function in Healthy Adults:A Randomized Controlled Trial
著者名:井上 亮 1*、鈴木 謙太 2、高岡 正周 2、成見 美智博 2、内藤 裕二 3(*筆頭著者)
    1.摂南大学 農学部応用生物科学科 動物機能科学研究室
    2.ミツカン イノベーション開発部
    3.京都府立医科大学 大学院 医学研究科
公開日:2025年9月5日
DOI:10.3390/microorganisms1309206

研究結果

プレスリリース全文は以下PDFよりご覧ください

この記事に関する問い合わせ先

■内容に関するお問い合わせ先
摂南大学 農学部応用生物科学科 教授 井上亮
TEL:072-896-5469(不在の場合は広報室へ)
■本件発信部署・取材のお申し込み先
学校法人常翔学園 広報室(担当:石村、上田)
TEL:06-6954-4026 Koho@josho.ac.jp
お知らせ一覧へ