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データサイエンスで、バイオ燃料と農作物の価格の関係を探る。

  • # 研究

郭 進 教授

  • 学部:経済学部 経済学科
  • 専門分野:応用計量経済学 ・計量経済モデルを用いた食料とエネルギーに関する分析

バイオ燃料の普及は、原材料である食料の高騰につながる?

近年、インターネットの発展、スマートフォンなどのデバイスの普及によって、扱われるデータの量は飛躍的に増加しました。資源としての重要性から「21世紀の石油」とも呼ばれるこれらのデータを分析し、役立つ情報を引き出す「データサイエンス」というスキルの重要性はますます高まっていると言えます。

私の専門分野である応用計量経済学では、さまざまなデータの中でも、特に経済データを取り扱います。世界規模から地域レベルまで、さまざまな経済データを分析することで、現実の問題を発見し、その解決策を経済の観点から考え、検証していくということを行っています。

主な研究テーマは、「バイオ燃料の生産におけるエネルギーと食料のバランス」です。近年、気候変動が深刻になる中、注目を集めているのが、環境にやさしいエネルギー源としてのバイオ燃料です。バイオ燃料を燃やしたときに出るCO2(二酸化炭素)は、植物が育つときに吸収するCO2と同程度の量と考えられることから「CO2ニュートラル」、つまりCO2を増やさないエネルギー源と言われています。アメリカではすでに、10%のバイオ燃料を混合したガソリンが広く販売され、普及しています。

しかし、バイオ燃料の生産が増えることで、食料の供給に悪影響が生じることもあります。トウモロコシやサトウキビがバイオ燃料の原材料として使われることで、食料が値上がりし、供給が不安定になるのではないかと懸念されています。食料ではなく倒木などの廃棄物を原材料とすることも可能ですが、その収集にはかなりの費用が必要です。すでに大量生産できる体制が整っていて、コスト面でも有利なのはやはり農作物なのです。

持続可能な農業とエネルギーの生産に向けて、政策提案をめざす。

現在、私はバイオ燃料の一種である「バイオエタノール」と、その原料であるトウモロコシの価格の関係性を調査しています。「ウェーブレット解析」という最新のデータ分析手法を用いて、価格の長期的・短期的な変動周期、それに価格や量などの要素がどのように影響し合っているかを探っています。現時点では、アメリカでのバイオ燃料推進政策がはじまった2005年あたりから相関関係が強まっていることがわかっています。やはり、トウモロコシの需要が増すことで価格の高騰、ひいてはアフリカなどの発展途上国の食糧不足、そして暴動の発生につながっていることが明らかになりました。

今後の展望として、私はバイオ燃料と食料供給のバランスをさらに深く研究し、持続可能なエネルギー政策に役立つ実践的な知識を提供したいと考えています。バイオ燃料が食料の安定供給にどんな影響を与えるのかをはっきりさせ、両者のバランスを取るための政策を提案することが目標です。

さらには、もっと広い視点から、特に発展途上国における食料の安定供給を強化し、持続可能な農業とエネルギーの生産を組み合わせた研究を進めていきたいと思っています。これにより、気候変動やエネルギー不足に直面している地域に、具体的な解決策を提供できればと考えています。

(取材内容は2024年9月時点のものです)

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