本学農学部に、63人の専任教員が就任しています。
農業生産学科および応用生物科学科は講座制(1研究室に複数の教授・准教授・講師が在籍)で各6研究室、
食品栄養学科は16研究室、食農ビジネス学科は12研究室、合わせて40研究室体制で農学のさまざまな課題解決に取り組んでいきます。
臨床栄養学第2研究室
准教授畦西 克己
在宅医療の進歩により、訪問栄養指導や介護保険サービスなどが広まり、低栄養の早期発見、早期栄養介入による栄養改善が求められています。しかし、在宅型有料老人ホームに入居する高齢者の栄養状態について把握ができていない状況です。当研究室では、入居高齢者の栄養状態を把握し、低栄養の原因について解明します。また、訪問栄養指導を通して栄養介入を行い、適正栄養量の摂取による栄養状態および身体状況の改善を進めて行きます。
臨床栄養学第1研究室
教授百木 和
超高齢社会の現在、高齢者の健康寿命の延伸および在宅復帰に向けた取り組みが重要です。各団体や施設、自治体と協力しながら高齢者の栄養状態の評価を行い、高齢者が地域で元気に暮らすための介護予防の取り組みを中心に研究を行います。また、フレイル予防に影響する食事パターンや栄養素等についても研究します。
臨床医学研究室
教授坂根 貞樹
食品栄養学と内分泌代謝学に共通した研究課題の1つに、食品中のヨウ素と甲状腺ホルモン調節との関係があります。現代の食生活でヨウ素摂取量が甲状腺機能や甲状腺の大きさに及ぼす影響について改めて検討し、糖尿病や脂質異常症など生活習慣病との関連や、甲状腺機能異常(潜在性機能低下症や低T3症候群)を伴うことが多いとされる高齢者や進行がん患者の栄養管理に研究成果を応用することを目指しています。
調理学研究室
教授安藤 真美
「調理学による健康への貢献」を目標とし、さまざまな調理操作によって変化する食材の栄養成分、嗜好性、生理機能について研究を進めています。これまでに、がんの抑制にも関係する食材の抗酸化能と調理方法との関係を調べてきました。また、現代生活では必須である冷凍食品の栄養成分を含めた品質向上のため、新しい凍結方法の開発も進めています。これらの研究活動を通じ、調理学研究室では人々のQOL向上と食品産業への貢献を目指します。
生化学研究室
講師小林 直木
私たちが食事を介して栄養素を体内へ取り込み、私たちの体やエネルギーを作り出すためにはトランスポーターと呼ばれる一種の酵素の働きが必要不可欠です。トランスポーターは栄養素を細胞内へ取り込んだり、時には細胞外へ放出したりすることで体内へ必要な栄養素を運びます。生化学研究室では、栄養素や情報伝達物質を運ぶトランスポーターの役割や分子機構を明らかにし、それらのトランスポーターの活性調節によるヒトの健康増進を目指します。
食品学研究室
教授水間 智哉
コメの加工特性を複眼的に取り上げ、新規食品および食用外利用につながるあらたなシーズを探索しています。また、食品製造プロセスにおける食品成分と品質変化を追跡し、数学的シミュレーションの手法を取り入れつつ、高品質・省エネ化につながる基礎的・応用的技術の開発を目指します。ときには、食品工場に寝泊りしながらデータを採取してVE(バリューエンジニアリング)やIE(経営工学)の手法を取り入れながら製造工程の最適化に取り組んでいます。
食品加工学研究室
教授山田 徳広
ヒトはライフステージ(年代)やライフスタイルによって味覚や栄養必要量が異なります。食品加工学研究室では、ライフステージやライフスタイルにあった加工食品を研究・開発し、その利用方法を提案していきます。その際、こしあんやみかんジュースを作る時のかすなど、有効成分を有しているにも関わらず、廃棄されている食品素材の有効利用を探ることによって栄養問題だけではなく、食糧問題、地域振興、環境問題に貢献する研究をしていきます。
食品衛生学研究室
教授平原 嘉親
食品には、ヒトが生きていくために欠かせない栄養源や健康を維持・増進する有益な成分などが含まれています。しかし、これら食品には安全性を脅かす有害な化学物質が含まれることもあります。食品衛生学研究室では、ヒトの健康を守ることを目的として,食品中に含まれる農薬、食品添加物、有害無機物質などさまざまな化学物質を分析してそのリスクの評価及び管理を行います。
公衆衛生学研究室
教授小川 俊夫
公衆衛生学(Public Health)は、人々の健康を維持増進するための実践科学です。当研究室では、国際機関や国内外の研究機関と連携しつつ、医療ビッグデータを活用し、がんや生活習慣病等の健康課題や健康づくりを中心に、疫学、医療経済学、医療政策学、社会科学など多面的かつ幅広い視点の研究を実施します。さらに、特定集団や地域から地球規模まで各種の健康課題の解決に向け、さまざまな領域で研究成果の活用と実践についても取り組みます。
公衆栄養学研究室
教授黒川 通典
「誰もが健康で暮らせる社会のシステムを構築する」をテーマとしてさまざまな観点から研究をすすめています。たとえば、地域診断を行い、その結果に基づく地域住民のための健康づくりプログラムの開発や食育ツールの開発、さらにはICTを活用した保健医療職のためのセルフトレーニングプログラムの開発を行っています。また、害獣であるシカ・イノシシと共生を図るとともに利活用をすすめるための食品の開発なども行っています。
給食経営管理研究室
教授樽井 雅彦
給食における衛生管理についての適切な原価計算についての研究を行っています。これまでその絶対的必要性故にコスト意識が希薄であった衛生管理業務を取り上げ、その効率性向上、すなわち原価管理のための原価計算についての検討を行い経営面の向上を目指します。また、新調理システム(インカートクッキングシステム)運用面全般について調査・研究を行い、将来は適時適温給食の提供及び効率化を図り、人手不足の解消を目指しています。
基礎栄養学研究室
准教授岸本 良美
私たちの日々の食事にはたくさんの栄養素や機能性成分が含まれています。基礎栄養学研究室では、ポリフェノールやカロテノイドなどの食品成分の健康機能について、動脈硬化をはじめとする疾病の予防や、健康の保持増進の観点から、主に培養細胞やヒトでの研究を行い、明らかにしようとしています。また、私たちがそのような機能性成分を食事からどのくらい摂取しているのか、どのような健康アウトカムが期待できるのか、といった調査研究にも取り組んでいます。
栄養教育論研究室
講師森 美奈子
人々が、質の高い快適な生活で、活力あふれる生活を送るために、栄養・健康教育によって望ましい食生活の行動変容に導き、モチベーションを上げて行動変容できるようなマネジメントの手法を社会環境の仕組みづくりの視点から検証します。研究成果によって、人々の生活背景や価値観を尊重し、豊かな人間性を持って、より良い食生活の意思決定を支援できるSociety5.0時代に求められる管理栄養士のマネジメントの手法を探求します。
栄養教育研究室
講師今城 安喜子
学校教育における食育は、知育・徳育・体育の基礎となるものです。栄養教育研究室では、児童・生徒が豊かな人間性を育み、生きる力を身に付けることができる食育を研究します。単なる栄養教育からトータルな人間形成につながる食教育を実現するために発達段階に応じた体系的、系統的、継続的な食育プログラムの構築と学校安全教育における食に関する防災教育の充実を目指します。また、その中核となる栄養教諭の育成にも貢献します。
運動生理学研究室
教授藤林 真美
女性アスリートの貧血改善を目指して、鉄代謝の根底にあるヘプシジンに着目した研究をしています。この成果は、アスリートの食事支援プログラムやアプリに開発に役立てます。またこれらは、多くの人々の健康維持のためにも活用できる汎用性の高いもので、健康な社会づくりの貢献へつながります。その他、最終糖化産物(AGEs)とスポーツ、月経とスポーツ、骨格筋電気刺激など、栄養とスポーツ・身体活動をキーワードとした学内外との共同研究も多数行っています。
研究室WEBサイト