革新は融合から始まる
融合科学研究所所長長島 健
摂南大学融合科学研究所は、9学部を擁する総合大学のスケールメリットを活かし、摂南大学発の革新的研究の創発をめざしています。コンセプトは「融合」です。
革新は融合から始まります。よく知られた例として「量子コンピュータの考案」を紹介します[※1]。これを考案したドイチュは元々量子力学の研究者で、「計算とは(物理と関係のない)数学の一部」と考えていました。ところが、ある研究会で情報理論の研究者から「計算の基本操作は物理的現象である」と聞かされ、ドイチュは衝撃を受けたと言っています。例えば算盤(そろばん)は玉を操作して計算します。決まったルールに従い、玉に力を加えて運動させます。物体(玉)の運動は古典力学で扱う物理現象ですので、算盤は古典力学を利用した計算機と言えます。ドイチュは量子力学を利用した計算機を考案しました(算盤の玉の代わりに電子や光などを使います)。量子力学が計算機科学や情報理論と融合して量子コンピュータの考案という革新的な成果につながりました。
- 古田彩「量子コンピュータの原点を探る」、日本物理学会誌、79巻10号、pp. 570-572 (2024).
摂南大学の教員はそれぞれが各研究分野のエキスパートとして活躍しています。融合科学研究所は学部・学科を越えて各教員の持つ研究力を融合することで研究の相乗的活性化と新規研究領域の開拓をめざします。
融合的研究の推進のため、本研究所では主として以下の活動を進めています。
研究講演会の開催
融合的研究を進めるには分野を越えた情報交換が不可欠です。各教員が持つ研究のシーズとニーズの直接的な情報交換の場として融合科学研究所講演会を開催しています。
融合的研究課題(チーム)の公募
融合的研究の具体化を促進するため、研究課題(チーム)を毎年度公募しています。本研究チーム制度をプラットフォームとして、多くの教員が各自の専門領域の垣根を超えて融合的研究を推進中です。
研究課題(チーム)公募要領研究課題
融合科学研究所 研究課題(チーム)融合科学研究所論文集の発行
融合科学研究所では、融合科学研究所を含めた摂南大学の研究活動を広く伝えるため、2015年度から融合科学研究所論文集を発行しています。萌芽的なものも含め学術的価値のある論文、社会的に有用な論文を、査読の上で掲載しています。
外部サイトを別ウインドウで開きます融合科学研究所論文集(摂南大学 学術機関リポジトリ)