山口 太郎講師ヤマグチ タロウ
所属
薬学部 薬学科
専門分野
薬理学|耳鼻咽喉科学
キーワード
聴覚生理 / 難聴 / バイオマーカー / 予防・治療薬
関連リンク
難聴に効くお薬はありません!
耳の「聞こえ」が悪くなってしまった難聴患者さんに適用するお薬はありますが、難聴に適応のあるお薬はありません。ピンとこない方も多いと思いますが、「適用する」は「使用する」ことを指し、「適応のある」は「効果の認められている」ことを指します。現在、難聴に対する治療薬は存在しません。私は、医療情報データベースの活用、多施設共同臨床研究の実施、実験モデル動物での仮説の検証を通じて、難聴に対する治療薬の開発につながる一歩を踏み出せるよう、日々、研究を続けています。
どうやって動物の聴力を測定するの?
動物に「聞こえていますか?」と訊ねても、「はい!」とは言ってくれません。では、どのように動物の聴力を測定するのか?麻酔下の動物頭皮内に電極を挿入し、スピーカーから発した音を聞かせます。音が聞こえている場合、聴覚刺激に対して特異的に発生する脳波(聴性脳幹反応)が電極を通じて観測できます。発する音の大きさを調整することで、聴性脳幹反応が観測される最小の音の大きさ(聴覚閾値)を測定することができ、一般に、この聴覚閾値を聴力といいます。動物の聴力はこのように測定することができ、難聴発症動物では、通常聴力の動物よりも聴覚閾値が上昇します。