川上 比奈子教授カワカミ ヒナコ
所属
理工学部 住環境デザイン学科
専門分野
建築史、意匠
キーワード
光合成建築 / 空間デザイン / インテリアデザイン / アイリーン・グレイ / 菅原精造 /
関連リンク
プロフィール
出身 | 兵庫県(姫路市) |
---|---|
生年 | 23295 |
家族構成 | 夫 |
尊敬する人物 | 茨木のり子 |
愛読書 | サリンジャー『ナイン・ストーリーズ』,坂口安吾『日本文化私観』,堀田善衛「定家明月記私抄』,『佐藤史生『ワン・ゼロ』,鳩山郁子『スパングル』 |
好きな映画 | 「メッセージ」「インターステラ」「グランドブタペストホテル」「怪しい彼女」「バグダット・カフェ」 |
好きな国・地域 | アイルランド,日本の東北 |
子どものころの夢 | 漫画家 |
休日の過ごし方 | その時に好きな料理を大量につくって、午後、ゆっくり食し、昼寝する |
好きな言葉 | 「自分の感受性ぐらい自分で守れ ばかものよ」茨木のり子 |
学内おすすめスポット | 10号館7階ベランダから見る淀川河川敷 |
好きな音楽 | 東京事変,椎名林檎,King Gnu,キングクリムゾン,アラン・パーソンズ プロジェクト |
家具・インテリア・建築を横断する感覚で新しい空間をデザイン
別々のコースで教えられることも多い建築、インテリア、家具のデザインですが、1920年代の建築家たちは家具で実験し、そこから導き出した考えをより大きなスケール、つまりインテリアや建築へと展開しました。そうした優れた建築・インテリア・家具に共通する空間の考え方(概念・手法)を紐解くことを通じて、未来の住環境への発展策を探っています。 その研究対象として着目してきたのが、アイルランド生まれの女性建築家・家具デザイナーのアイリーン・グレイです。 1929年に南仏の海沿いに建設された近代建築の傑作として名高い住宅《E.1027》と、そこで使われるためにデザインされた家具の分析を通じて、グレイの建築、インテリア、家具に共通して見出される〈幾何学形を分解し、あえて空隙を生み出す空間概念〉に気づきました。この考え方は、実はグレイに漆芸と彫刻を教えた菅原精造という美術家を通じて学んだ、日本の空間美学であることについても研究しています。 さらに学科のコンセプトでもある「自然の力をかりる」という考え方が、グレイの建築には早くも取り入れられていたと分析。実際、太陽の動きに合わせて部屋の配置が考えられ、窓や建物の形態が操作されているのです。
光合成建築:光合成する家具・インテリア・建築・まちの提案
生命科学科の松尾康光教授と共に研究を進めている学際研究「光合成建築」は、建築が樹木のように酸素を地球に還元する新しい環境システムです。伐採された樹々の葉っぱや形が悪くて出荷できない野菜など、世界中で膨大な植物が捨てられています。そうした廃棄植物から抽出した葉緑体の溶液を透光性のある2重パネルやチューブに注入し、建築物の屋根、壁、窓などに組み込んで建てると、太陽光で建築自体が光合成して水素と酸素を創り出すことができます。水素は私たちの生活でスマホやパソコンを充電するエネルギーに利用し、酸素は自然に還して恩返し。2017年から「建てる建築から植える建築へ」という哲学で始めたSDGsを先駆ける研究です。「超異分野学会2024」では、発表やポスターセッションに多くの方々が関心を寄せてくださり、今後は、異分野の企業と共同で、実際の「光合成建築」を創っていこうとしています。